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本コースでは、日本の伝統的な文化や芸術の特質を知るとともに、その今日的な意義を把握することを目標とします。東アジアの文化は理論的構築物の形ばかりではなく、さまざまな芸術ジャンルとして実践的に身につけられ、親しまれてきました。そのため本コースでは、通信教育とはいえ、実際に身体を用いた演習授業も多分に取り入れています。しかし、特定のジャンルや流派のお稽古をすることが目的ではありません。本学で伝統文化を学ぶメリットは、さまざまな領域を総体として俯瞰し、そこに共通に現れる基本的な考え方、あり方を掴む、という点にあります。たとえばお茶やお花の実践を深めたい方は、それぞれに優れた流派がありますので、大学での研究とは別のものとして(あるいは並行して)各自で学んでください。

日本の文化と芸術は諸外国の大きな影響下にありながら、そこに独自のスタイルを作って来たという歴史があります。そうして生まれた日本の生活の美しさや精緻な芸術的感性は異国の人の心をも打ってきました。また外国を旅してあらためて自国の文化の美点を見直したひとも多いでしょう。しかしそれをひとたび頭で整理したり言葉で表現しようとするや、ステレオタイプな日本文化論に陥りがちです。実際のところ、文化をひとことの標語で表現しようとすること自体に無理があります。多彩な現れ方をしてきた日本文化の性質を探るためには、それを単純な言葉によって何らかの根本へと還元していくというよりも、むしろ複数の根に支えられた一本の幹と、そしてまたそこから張りめぐらされているさまざまな枝の織り成す姿として総体的に確認していくことの方が稔り豊かでしょう。

本コースでは、いたずらにグローバリズムに棹差したり、あるいは偏狭な自国中心主義にとらわれたりするのではなく、文化の重層性や文化間の相互交流を評価しつつ、私たちの文化のありかたを見つめなおすという課題を引き受けなくてはなりません。そのため、本コースのカリキュラムは次のような3つの科目群から構成されています。伝統文化の根幹となる思想を知識として学ぶ科目群。これらは指定教材の読解とレポートの添削講評という形で授業がなされます。次に日本文化の特色と伝統芸術の世界を学習する科目群。これらは講義形式の授業です。そして日本文化の美意識や伝統芸術の「こころ」を実践を通じて学ぶ科目群。これらは実際に伝統文化に触れる演習形式のものです。このような学習を通じて知見を得た上で、最終的には各自それぞれの関心にもとづいた研究テーマを定め、論文や報告書といった卒業成果物の作成を目指します。この過程ではゼミ形式の議論や中間報告書の添削指導、そして個別面談が行われます。

以上のような学習・研究を通じて、伝統的な文化や芸術を過去のものとするのではなく、現代の私たちの身についた教養として、日々の仕事や生活に愉しく生かしていただければ何よりです。

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『コースガイド』を使って履修計画をたてましょう

通信教育では通学制と異なり自分で履修プランをたて学習をすすめることが重要です。

入学許可後は、airU学習ガイドやシラバスを確認して履修計画をたてましょう。airUマイページでは履修プランを作成することができます。

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本学通信教育課程では「履修登録」がありません。年度途中に新規科目に取り組むことも可能です。

また、履修状況や学習環境の変化によって履修プランをたてなおし、学習をすすめていくことができます。

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